クレルヴォー城

ルクセンブルクの北、アルデンヌの森が広がるこの地方の中心地クレルヴォー。

蛇行するクレルヴ川に囲まれた、小さいながらも洗練された街の中心部に、森の緑に映える白亜のクレルヴォー城があります。城の最古の西翼部分は、12世紀にヴィアンデン伯の弟フォン・スポンハイム伯によって建てられています。のちに当時ルクセンブルク公でもあったブランデンブルグ選帝侯家に持ち主が変わると、城の守りを強化するため15世紀初頭には牢屋も兼ねた「ブルゴーニュの塔」が南側に、その後「魔女の塔」が城の主屋に作られます。マーストリヒトとナミュールの提督だったフランドルの貴族クラウド・ド・ラノワの時代、1648年にフランドル・スペイン様式の「騎士たちの広間」を含む大広間が完成し、17世紀から18世紀にかけて厩や執務室などが増築されています。ちなみに現在のルクセンブルク皇太子妃はステファニー・ド・ラノワ、つまり以前のこの城の持ち主と同じ家の出身なのです。

城の中庭からの眺め。

城の入り口にはド・ラノワ家によって1671年に作られた見張り番の小屋があり、こちらは現在カフェ・レストランになっています。プレフィックスコースが46ユーロからと少々お値段はお高め。

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第二次大戦前まで城はホテルとして改築され使用されていましたが、映画『バルジ大作戦』で有名なバルジの戦いで、クレルヴォーの街が激しい攻防戦の舞台となると、戦火に巻き込まれ燃え落ちてしまいます。
今でもナチス政権の占領下から祖国を解放し、その後も巻き返しをはかろうとバルジ戦を仕掛けてきたナチス・ドイツから懸命に街を守ったアメリカ軍に対しての感謝のモニュメントが街のあちこちにあります。城の入り口にはパットン戦車団?の残した戦車が。

大戦後、他の多くのルクセンブルクの城と同様ここも一時廃墟化しましたが、修復されて3つの展示を持つ博物館として生まれ変わります。そのひとつがバルジの戦い博物館。蝋人形で戦いの様子を再現したり、当時のクレルヴォーの街の人々とアメリカ軍の戦車団のふれあいの様子が展示されていたり。仏語やルクセンブルク語での説明は残念ながらわからなかったのですが、なんとなく様子は分かる……ような気がする。

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開館時間や入場料はこちらのルクセンブルク観光局の公式サイトで確認!

Clervaux_28OCT2018-18

ルクセンブルクにあるお城の1:100の模型を展示しているのがこのルクセンブルク大公国の城模型博物館
城下町も含めた地形から再現しているので、築城の目的や用途がよく分かる気がします。城マニアの方は必見。マニアじゃなくても、なかなか行きにくい場所にあるルクセンブルクのお城を観光した気分になれるし、意外と城の全景というのは見られないものなので歴史に興味があれば見逃す手はないですよ!
これもルクセンブルク観光局公式サイトで入場料と開館時間を確認してください。

城の周囲の街並、クレルヴ川の流れる谷、教会やチャペルと城以外も見どころの多いクレルヴォーですが、健脚なら街から20分くらい登った丘の上に建つ20世紀初頭のロマネスク・ブルゴーニュ様式の建築、サン・モーリス・エ・サン・モール修道院を見てみてはどうでしょう。実際に今でも修道士さんたちが生活している場なので、礼拝をしていると中は覗けませんが、その場合は地下のクリプトが見学出来ます(礼拝堂とは別の入り口にあり、案内板が出ています)。クリプトの展示では修道士の生活が説明されていますが、フランス語のみで読めませんでした。ただ写真も豊富なので、パソコン担当の修道士とかいるんだな、とか分かって結構面白いです。

クレルヴォーはさすが観光地だけあって、美味しそうなレストランやホテルには事欠きません。ルクセンブルク北部を数日巡りたいなら、ここを拠点にするのも手かも。4キロほど離れたウルスペルにはお城ホテルもあります。


行き方

ルクセンブルク中央駅からLine 10の電車で約1時間 → クレルヴォー駅下車徒歩12分
*曜日にもよりますが、中央駅からクレルヴォーまでの電車は1時間に1〜2本程度出ています。


クレルヴォー城ではもうひとつ、エドワード・スタイケンの企画した有名な写真展『ザ・ファミリー・オブ・マン』を常設しています。ファッション写真家の草分けとして知られるルクセンブルク生まれのスタイケンは20世紀初頭のヴォーグ誌などで活躍。ニューヨーク近代美術館写真部門の芸術監督だった1955年に、68カ国、273人の写真家からの作品でこの企画展を構成します。世界中から人種、文化、国籍を超えて人々の生活を切り取った写真の数々は見るものを圧倒し、そこに現れる人間の多様性、そして不思議な普遍性は、違う世界への憧憬と敬意を喚起するヒューマニティへの賛歌そのものです。
世界中を巻き込み市民・兵士ともに多くの犠牲を出した戦争からわずか10年、冷戦体制が始まりまだ平和とは程遠かった時代の、世界が人種や国を超えてひとつのファミリーであるというテーマの希望に満ちた写真展。日本に巡回した時は被爆直後の広島の写真が布で覆われ物議を醸したそうです。
冷戦が終結したのにやっぱりちっとも平和になってない現在から見ると、ある意味皮肉に見えてしまうかもしれないけど、独仏の国境で戦場となってきて今ではEU議会の本部を擁するルクセンブルクだからこそ、この半世紀以上昔の写真展が永久展示されている意義もまた充分あるのでは、と私見ながら思うのです。
なにより、さすがMOMA鳴り物入りの企画だっただけあって、どの写真も作品として素晴らしいのです!

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