ルクセンブルクの小スイス、ミュラータール

連なる丘や深い森、街から少し外れただけで童話に出てきそうな風景が広がるルクセンブルク。なかでも小スイスと呼ばれるミュラータールは秋のトレッキングに最適。

ルクセンブルクは5つの地方に分かれています。深い森に覆われた険しい丘に古城が点在する北部のアルデンヌ地方、ルクセンブルク大学のあるエシュ=シュル=アルゼットを中心とする鋼鉄の産地として栄えた南部のテール・ルージュ(赤い土地)地方、首都ルクセンブルクを擁する中部グートランド(良い土地の意)、ぶどう畑の広がるモーゼル川流域。どの地方を歩いても楽しいのですが、とりわけこの季節ハイカーたちに人気なのが岩の間を小川が流れる景色が素晴らしいミュラータールMullerthal 地方。小スイスと呼ばれていますが日本人の想像するスイスの高地と言うより、むしろ日本の山道を感じさせる懐かしさ。苔むした岩や紅葉が美しい雑木林、木漏れ日を頼りに茂る森の草木、小川のせせらぎ…ああ癒される…。。

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『もののけ姫』のこだまちゃんたちが出てきそう

自然とアウトドアが大好きなルクセンブルクの人々にとって、週末に犬をつれて野歩きしたりサイクリングに出かけたりはポピュラーな娯楽。サイクリング及びトレッキングコースも充実しており、この小さな国に実に200以上の周回遊歩道があるのです。なかでも有名なのがミュラータール・トレイルと呼ばれる40キロ弱の3本のコース。

ルクセンブルク観光局も公式サイト(英語)で推しまくっています。

40キロ、と聞いてそっ閉じするのはまだ待って!その他に初心者向けの短い4つのエキストラコースもあるのです!中でも超初心者向け全長9キロのエキストラコースCは、廃線の駅舎、昔は線路が通っていたトンネルから畑のなかの田舎道、森と小川、見晴らしの素晴らしい景観と、短いなかにも変化に富んでいる良コース。

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全長9キロ、やや登り下りあり。
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左が旧駅舎、右がレストラン

周回路なのでどこを起点にしてもいいのですが、バスでも行きやすいベッシュBech の町はずれにあるカフェレストランベシャー・ガールBecher Gare から出発するのがわかりやすいです。歩き終わった後のここでのお茶やご飯を楽しみにするのもまたよし。道の反対側には、今は廃線になっているルクセンブルク~エシュテルナッハ路線の駅のひとつだったベシャーの旧駅舎が残っています。反時計回りの場合は、ここからのもとは線路だった道がコースの始まり。

ちなみにルクセンブルクの鉄道情報サイトには、在りし日のベシャー駅の写真がありますので興味があったらのぞいてみて。このサイトは他にもルクセンブルク鉄道の歴史的写真が満載で面白いのです。惜しいのはルクセンブルク語オンリーなので、何が書かれているかちっともわからないことでしょうか…。

旧いトンネルはサイクリングロードと兼用なので、自転車に気をつけて。ミュラータールには何本ものトレッキング及びサイクリングコースが入り組んでいて道に迷いそうになりますが、わかりづらい分かれ道には必ずこんな道標があり、画像のミュラータールトレイルのロゴ(筆記体のM)の示す通り歩けば大丈夫! 薄いオレンジのほうがエキストラコースのロゴ。赤いのは距離の長い本ルートの方ですのでお間違えないよう。不安な方はGPS機能をオンにしておくと安心。

整備されたエキストラコースCは、途中でアルトリエールAltrier の町を抜け、ふたたび11号線道路(E29)を超えたところで森に入るのですが、この入り口にあるのが写真の古い楢の木 Bildchen。ルクセンブルク公式重要な木のリストにも登録されている、へールベルクの楢(またはアルトリエールの楢)として有名な見事な老木です。幹のウロに安置してあるマリア像は思わず手を合わせてしまうおごそかさ。小川に小さな橋がかかり、きのこがそこここに顔を出し、小さい頃童話の挿絵で見て憧れたヨーロッパの深い森そのもの。きのこ狩りをしている地元民も見かけます。

ケルトの遺跡や新石器時代の住居跡なども見られる森を抜けると、こんな見晴らしの良い場所に出たりも。


こんな初心者コースじゃ物足りない、という方はぜひ全長112キロの本コースに挑戦してみてください。地元のルクセンブルク人は週末ごとに出かけて少しずつ歩き、何回にも分けて3つのルートの全行程をコンプリートするんだとか。
本コースのルート2を歩くのに便利なマルトブッシュのキャンプサイトではこんな可愛い形の宿泊ポットをスペシャルオファー中(2019年現在)。ルクセンブルク観光局の推すのは、ここに連泊して1日目はコンスドルフConsdorf まで歩き、バスでベルドルフBerdorf まで戻ってきて(Berdorf, Duerfplatz のバス停からキャンプサイトまで徒歩10分)、翌日今度はルートの反対側をふたたびコンスドルフまで歩く、2日がかりでルート2を歩きたおすプラン。この計画にぴったりの2人用ポッド3泊85ユーロという大特価は年内(2019年)のみ有効!急げ!

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またミュラータール・トレイルの公式サイトでも、1日20キロ弱のステージに分けて全ルートを歩くプランを提案しています。宿泊しやすい場所やバスの便情報もあるので計画が立てやすい!


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日本の山とは違い、森の深いところを歩いていると思っても意外と人家や畑が近くにあることの多いルクセンブルク。山の上に何があるんだろうと登っていくと普通の牧場があったりして割と呆然としたりするくらいなので、遭難の心配はまずないと思いますが、夏でも寒いことがあるため防寒はしっかりと。秋から春にかけてはダウンと手袋は必要。道は整備されてるとはいえ、ところどころぬかるみなどもあって滑りやすくなっています。トレッキングシューズの着用を強くおすすめします。
クマはいませんがイノシシは時々出るようで車にぶつかられる人が年に数人出ます。また日本でも問題になっているマダニがいます、長袖長ズボン、噛まれたと思ったらすぐ受診で対策を。実は最近ちらほらと狼の目撃情報もあるのですが、ルクセンブルク国内での狼の復活を証明する決定的な証拠はまだ見つかっていない模様。 【追記】このエントリーをアップしたのちの2020年4月(Covid-19のロックダウン中)に首都ルクセンブルク市から数キロ離れたニーデルランヴェンで羊が咬み殺されているのが発見されDNA鑑定により狼によるものであることが確認されました。ルクセンブルク国内への中央ヨーロッパからの狼の侵入があることが初めて証明されたことになります。


秋口に森を歩いているときのこ狩りをしているルクセンブルク人に出会います。街のレストランでもこの時期は地元産のきのこを使ったリゾットがご馳走。スーパーでもセップ茸(ポルチーニ)をはじめとした香り高いきのこが並びます。ルクセンブルクの代表的な秋の味覚ですが、実は1人1日1キロまで、自分で食べる分だけなら採取が許されているのです(レストランなど商用の場合は届け出が必要)。そしてきのこ狩りで怖いのが毒キノコ。ルクセンブルクの自然センター内の真菌研究所は、9〜10月のシーズンの土曜夕方に限り、持ち込んだきのこの毒性を判定してくれていたそう(2020年以降もあるかは未定)。週末ハイカーの素人きのこ狩りに配慮したサービスまで揃っていて、ルクセンブルク人の野歩きにかける情熱を感じますね。自然センターはよく知っているきのこだけ採るよう強く呼びかけています。


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ルート3のコースから見えるボーフォール城

ミュラータール・トレイルだけじゃない、ドイツとの国境、モーゼル川を超えてのルートも複数擁するネイチャーワンダーパーク・デラックス、ルクセンブルクの自然を踏破するナショナルハイキング・トレイル初心者用から中級までの208の周回路と、他にもルクセンブルクにはあらゆる地域にレベルも距離も目的も様々なトレッキング・コースが盛りだくさん。森を歩いていたらお城や教会に行き当たったりするのもまたルクセンブルクでのトレッキングの魅力。

他のコースにも興味がある方には、上記のサイトの他にもルクセンブルクの本屋や大きいスーパーで必ず売ってるこの本がおすすめ!200以上ある周回路の地図や難易度、見どころが一目でわかるうえ、バインダー式でコースごとに1枚の紙になっていてお出かけに持っていけるので便利!独仏英の3ヶ国語で書いてあるのも嬉しいのです。

それではみなさん、冬が来る前に、最後のアウトドアを楽しんで!


ベッシャー・ガール Becher Gare までの行き方

ユングリンステルJunglinster またはエシュテルナッハEchternach から112番のバスでベシュ・ウム・ファウバーグBech, Um Faubourg 下車。徒歩8分。
112番の時刻表はこちら

ユングリンステル、エシュテルナッハまでは、ルクセンブルク中央駅からだと111番のバス(時刻表はこちら)が便利。111番のバスはエクストラCコース途中のアルトリエールAltrier にも停車するのでここを起点にするのも手。ただしアルトリエール周辺は割と何もないです。また日曜日は極端にバスの本数が減るので注意。

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