ルクセンブルク一可愛い橋、シーセントゥンペルを見に行く

おとぎ話に出て来そうな橋シーセントゥンペルは観光ガイドには必ず出てくると言っても過言ではないミュラータール地方の顔。実はバス停も近く思ったより行きやすいのです。森の中の涼しげな川のほとりは夏のお出かけにも秋の紅葉シーズンにもぴったり。

小スイスと呼ばれるルクセンブルクの南東部、ドイツ国境にも近いミュラータールの森は、トレッキングやサイクリングコースも充実した、年間を通して人々が訪れる人気の行楽地。長短揃ったトレッキングコースの一つを以前のエントリーで紹介しましたが、ミュラータールの観光記事や写真で必ず目にする橋 シーセントゥンペルSchiessentümpel に(今更)行って来ました。

Schiessentümpel


シーセントゥンペル(滝)にかかるシーセントゥンペル(橋)

ルクセンブルク語で Schiessentümpel とは勢いよく吹き出る(Schiessen)水溜まり(Tümpel)のこと(google translate 調べ)。その名の通り黒エルンツ川の流れが3つの小さな滝となって勢いよく淵に注ぎ込むちょうど真上に、半円のアーチを描いた砂岩と石灰岩製の橋が、小枝の手すりも愛らしく森の中から現れます。シーセントゥンペルというのはこの滝および橋の両方を指す名前だそう。ちなみにこれがルクセンブルクで一番高い滝だそうです。
ここから数キロ離れたクリストナッハ出身の石工ジャン・ピエール・プロメンシェンケルがたった4ヶ月の間に設計図なしですべての工程を指揮して建てられたと言われている、と近くの観光センターのサイトには書いてあるんですが、wiki の記事によると設計図を描いたエンジニアは別にいて、工事を任された現場監督が石工としてプロメンシェンケルを雇ったというのが真相の由。

アーチ下部。当初のプランでは橋を肩に担ぐような石像や地域の名士を記した石板を配する予定だったらしいのですが、資金が足りずに挫折。また積まれた砂岩には動物たちが彫られていたそうですが、今ではワニしかわかりません……ワニかな、これ……。

さすが歴史ある観光地、滝を見に来た人でいっぱい


ミュラータール観光の歴史

橋というのは交通の要所、川の両岸を行き来する人々の生活の利便のために作られるものですが、実はこの橋、交通上の意義は特になく、つまり100%観光のために建てられたものです。ルクセンブルクの観光業の意外な歴史の古さに驚きますよね。1814年、ナポレオン後のルクセンブルクの処遇が二転三転していたウィーン会議の年、一時的に中低地ラインラントの領土の一部となっていたルクセンブルクに地域の学校長としてコブレンツから赴任した思想家のヨーゼフ・ゲレスが、寄稿していたライニッシャー・メルクール紙にルクセンブルクを紹介する記事を寄稿したのがきっかけ。ブリュッセルのジャーナリスト、ヴィクトル・ジョリーの旅行記で「アルデンヌ」というタイトルでルクセンブルクが紹介されたことも観光地としてのルクセンブルクに耳目を集めました。ルクセンブルク政府はそれ以降、道路の整備と鉄道網の発展に力を入れ、1873年にドイツ国境のグリュントホフGrundhof に駅を設置し、そこからミュラータールの村への道路が1887年に完成します。1881年には反対側からの道路も完成しアクセスはますます便利に。それ以前は「狼の土地」と言われ危険な原生林だったミュラータールは「ルクセンブルクの小スイス」と呼ばれることになります(以上、ミュラータール地方観光局公式サイトより)……なるほど、今まで「いや確かにミュラータールの森はすごく気持ちいいけどスイスには全く似てないよね?」と思ってたんですが(RTLの中の人もそう思ってますよね?な証拠記事)、19世紀末のヨーロッパではスイスは自然を楽しむ観光地の代名詞だったのかもしれないな、と初めて納得しました。


難易度いろいろの遊歩道が交錯

滝はコンスドルフを起点とした9.1キロの周回路上にあるので、脚に自信のある向きはトレッキングメインで訪れても良いかも(このコースは上級者向きとなっていて足元が悪い急斜面や岩場もあります、トレッキングシューズ必須)。そのほかにもミュラータール・トレイルのルート2とルート3、ローカル・ハイキング・トレイルのW6コースW7コースも付近を通っていて、多くのハイキングルートが交錯している遊歩道の過密地帯。

迷いそうになるほどですが、分かれ道には案内板があり、それぞれのコース独自のロゴで方向を示してくれているのでそれを頼りに歩けば大丈夫。時間がなくても橋の付近をぶらぶら歩いて戻って来るだけでプチハイキング気分が楽しめます。


アクセスにストレスなし

橋の脇の121号道路(CR121)には車道の横に歩行者専用路があり、実はバス停・駐車場からのアクセスはバリアフリー。しかも橋と滝の眺めはこの道路からがいちばんフォトジェニックなのです。

CR121の歩道から撮った橋と滝

最寄りの駐車場 Parking Schiessentümpel からは木道の遊歩道も完備。アップダウンがありますが階段が整備されてるので、小さい子供や犬連れの人たちも大勢歩いていきます。

そう、実はこの橋、121号道路のすぐ脇にありとってもアクセスがいいのです。車で通りがかりに見ることすら出来てしまう、左の写真はそばを通った時に車から撮ったもの。

シーセントゥンペルへのアクセス

最寄りのバス停はミュラータール・シーセントゥンペル駐車場 Müllerthal, Schiessentümpel (徒歩8分) とミュラータール・カスケイド Müllerthal, Cascades(徒歩12分)の二つ。シーセントゥンペル駐車場からは木道などで綺麗に整備された遊歩道が伸びていてこちらがおすすめ。ミュラータール・カスケイドのバス停からは、バスの来た道をブレドワイラー Breidweiler 方面に少し戻ります。

ルクセンブルク中央駅からの公共交通機関でのアクセス
ミュラータール・シーセントゥンペル駐車場へは
バス111番(エヒテルナッハEchternach行)コンスドルフConsdorf 下車→ バス470番(ミュラータール行)に乗り換えミュラータール・シーセントゥンペル駐車場下車
ミュラータール・カスケイドへは
バス111番(エヒテルナッハEchternach行)アルトリエール・へーシュブレセルヴェーAltrier, Heeschbregerwee下車→バス108番(ミュラータール・カスケイドMüllerthal, Cascades行)に乗り換え終点で下車
中央駅からだいたい1時間半くらい、バスは1〜2時間に一本来るような感じですが、108番のバスは日曜は運行してませんので注意。

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