トレッキングルートの多いルクセンブルク、google map では表示されない遊歩道やサイクリングルートが一目でわかる地図サイトの活用が便利。

GPS機能で現在位置と最短経路がすぐに出てくる google map や citymapper、便利ですよね〜、まあ citymapper はルクセンブルクをカバーしてないんですけどね。代わりにルクセンブルク国鉄 CFL やルクセンブルク交通局 Mobilitéits zentral の出している経路案内アプリを活用している方も多いでしょう。地図が読めない方向音痴としては助かることしきり。テクノロジーばんざい。けれどもここはルクセンブルク、森や麦畑の中を通り抜ける舗装してない気持ちのいい散歩道やサイクリングロードが無数にあるのに関わらず google map では出てこない、そんな経験ありませんか。ルクセンブルク国内のトレッキングルートやサイクリングロードはありがたいことにきちんと整備され、迷わないように道案内の看板が立ってはいますが、ルート以外の道がどこに続くのか気になるし、ルートを外れて歩きたい気分の時もありますよね。遊歩道まで網羅してる地図があれば便利なのに…と思って検索したらさすがなんでも落ちてるインターネット、どんな道でも載ってる地図や観光ツアーのルートマップがオンラインにはあるのです、しかも無料。Covid-19感染対策で散歩くらいしかやることない、でもいつも同じ道の行き来は飽き飽きしたなんて時、そんな地図サイトで見慣れた裏山の秘密の通路や意外な抜け道などを開発し、自分だけの散歩道を見つけてみてはいかが。
地図帳のときめき、Geoprtail.lu
Administration du Cadastre et de la Topographie(土地台帳や国土の測量を管理する機関)による、ルクセンブルク政府公式の地図と地政のデータ・プラットフォーム。さすが政府の機関だけあって情報の正確さと量の多さはピカイチ。アウトドアでの利用に止まらず、例えば地域ごとの汚染・騒音データとか、どこらへんが地価が高いとか、インフラの分布とかハザードマップとか、行政区の割り振りとか、生活のお役立ち情報も地図上で一目でわかる!これは正直、家選びをするときに知っておきたかったと後悔しきり(今から住むところを探すみなさんは私の分まで活用してください)。

とりあえず geoportail.lu に飛んでみてください。仏語版やドイツ語版もありますので右上の地球儀をクリックしてお好みの言語に変更します。まずは GENERAL PORTAL というテーマを選択してみましょう、ルクセンブルクの地図が出ます。もちろん「観光にしか興味ない」というかたは最初からTOURISM をクリックしても同様に地図が出ます。

……普通の地図じゃん、という画面ですが、ここから自分で欲しい情報を選択していきます。操作は慣れれば簡単。左側に出てくる LAYERS の CATALOG のメニューから自分の欲しい情報がありそうなプルダウンメニューを選択。なんか目的のデータがなさそう、と思ったら CHANGE で THEME を変更。 現在の THEME は MAIN になっていますので例えば観光情報が欲しければ下記画像の丸で囲まれた部分をタップして TOURISM を選択。

下の画像は、THEME を TOURISM に変更したのち、メニューの中から Rambring routes にチェックを入れたところです。ルクセンブルク市周辺のトレッキング周回路が出てきます。

右上のアイコンで地図のモードを航空写真や等高線があるものに変更することも出来ます。こうしてみるとルクセンブルク、本当に森多いよね……。

さらに特定のトレッキングルートをクリックすると、長さや高低差などの情報がわかります。

こんな風に知りたい情報がメニューにあったらチェックを入れて地図上に加えていきます。情報が多くなりすぎて地図が見にくくなったら、LAYERS のメニューから MY LAYERS を選択、自分の地図のレイヤーに溜まった情報を削除すればスッキリ素地図に戻ります。
というような一連の操作をスマートフォン上でしてみたのが上の動画です(ちなみにアプリ版はないので、サイトのトップページ画面を携帯のホーム画面に追加してアプリみたいに使っています)。下のメニューにある ROUTING を選択すると、経路案内アプリがわりに使えます。ただGPS機能はないので自分の現在地はわからないのですが…。
その代わり、単なる経路案内では決してわからないルクセンブルクという国の情報がぎゅっと詰まっています。たとえば THEME をLENOZ に変更すると学校や病院などの社会的インフラの分布や騒音・水害ハザードマップが出てきたり、DEMOGRAPHIC ATLAS にすると人口分布地図が見れたり、つまり一言で言えばインタラクティブな地図帳。生活する上でルクセンブルクの人々がどんな情報を必要としているかも見えてきて、掘れば掘るほど興味深いデータが出てくる、気がつけば何時間も見ていられる地図帳好きには時間泥棒なサイト。個人の趣味にとどまらず、企業向けや開発業者向けのメニューもあるのでビジネスで使っている人も多いのでは。皆さんもぜひ面白いデータを見つけて楽しんでみてください、ちなみに私が好きなのは ENVIRONMENT テーマにある FOREST のメニュー、 Remarkable subsidisable trees です。リマーカブルなルクセンブルクの樹木がどこに生えてるかが一目でわかるのです!
このジオポータルサイト、グラン・レジオン(Grande Région)版もあります。使い方はルクセンブルク版とまったく一緒なので、独サールラントや仏グラン・テスト、ベルギー・ワロン地域などの周辺国のデータ、たとえばルクセンブルクへの越境通勤者数や観光名所、ミシュランの星付レストランなどを地図で見ることが出来ます。ただトレッキングやサイクリングのルートのデータはこちらではカバーされてないのがちょっと残念。
運動量の管理にちょう便利、mapometer

世界中のジョガーに愛用されてるmapometer(Runninng route planner)、日本版を使ってるという人もおられるかと思いますが、ルクセンブルク版もちゃんとあるのです。嬉しいことに google map にも載ってない遊歩道なども網羅していてくれるので森や畑の中のジョギングルートも計測しやすい。何と言ってもジョギングのルート作りに特化しているのでスポーツ地図としての使いやすさが抜群なのです。左側のメニューで運動の種類を選び、 Draw Route で歩く(または走る)ルートを描いていくと消費カロリーが出るのがダイエット中の身にはありがたいし、定期的に同じコースを走るならルートを保存しておけるので、走るたびにいちいち入力する必要もありません。

しかもルクセンブルク版はやたらカメラのアイコンのフォトスポット表示が多く、写真を撮りたくなるような景色の良い場所を選んでのルートが作りやすいような気がするのです……ジョギングする人が多くユーザーが多いせいかしら?こんな便利ツールが無料でいいの?と思う皆さんは年間9ユーロでサポートしてあげてください、ルート途中のお手洗いの場所など、もっと便利な機能が使えるようになります。ジムの入会金だと思えば安いもの?
ガイドツアーのルートマップを活用

ルクセンブルク市の観光局はガイド付きのウォーキングツアーを複数用意しています。もちろん歴史や美術に対する深い知識を持つガイドさんの説明があるのとないのとでは同じ道を歩いても格段に面白さが違うのですが、単に健康のために歩く時でも観光スポットなど興味を惹かれる場所が多い方が楽しいですよね。市観光局のサイトではルートの地図と簡単な解説のリーフレットがダウンロード可能、このルートを地図のとおりに歩いてみてプチ観光旅行気分を楽しむのも手です。
世界遺産堪能ツアー
UNESCOの世界遺産に登録されているルクセンブルク市の旧市街と要塞群をじっくり見られる2時間ほどのツアー。憲法広場からペトリュス、コルニッシュとまさに砦だったところを歩き、ボックの砲台と大公宮、ノートル・ダム寺院も通ります。こちらからツアーのルートをダウンロードできます。
庭園巡りツアー
市内の公園をめぐる3時間のツアー。市中心部にいながらにして緑いっぱいの散策を楽しめます。ペトリュス川沿いの谷間の道はすぐそばが首都の中心部とは思えないくらい。リーフレットはこちら。

ルクセンブルクの展望台めぐりツアー
見晴らしの良い高い場所好きですか?わたくしも大好きです。何とかと煙は高いところに登りたがるなんて言われても、三方を谷に囲まれたルクセンブルクの眺望は思いっきり楽しまないともったいない!3つのセクションに分かれていますので部分的に歩いてもいいですが、すべて回っても全長4.5km、2時間弱のコースなので少し長い散歩にも最適。天気の良い冬の日の見晴らしは本当におすすめ。途中でガラス張りのエレベータやフニクラ(ケーブルカー)も利用しますので(もちろん無料)着用するマスクを忘れないように。地図付きのリーフレットはこちら。

EUの父ロベール・シューマンの軌跡を辿るツアー
1950年シューマン宣言によって設立された欧州石炭鉄鋼共同体が現在の欧州連合の前身となったのは皆様ご存知のとおり。宣言を出したロベール・シューマンはルクセンブルク生まれ、ドイツ語で教育を受けたにも関わらずフランス首相にまでなった経歴から、欧州和平の象徴ともいえる存在。そんなシューマンの生家やEUゆかりの場所を尋ねる7kmのツアー。出発はアルム広場なんですが終点はちょっと離れたロベール・シューマンの両親のお墓、戻ってくるのが結構大変そうなので帰りはバスが吉かも。健脚な方向け。リーフレットはこちら。
建築めぐりツアー
ルクセンブルク中央駅からパリ広場、サクレ・クール教会、アドルフ橋などリベルテ通り周辺の20世紀初頭の建築群を見て回るツアー。こちらのリーフレットには建立年、建築家の名前など必要なデータがあるのでプリントアウトして出かけるのをおすすめします。
子供といっしょに市内観光ツアー
ルクセンブルク市を建設したと言われる初代ルクセンブルク伯ジークフリートとその伝説上の妻、人魚のメルジーナをテーマにした家族向けツアー。代表的な観光スポットを網羅し子供でも歩ける距離なので初心者に最適。ふたりのイラスト付きのリーフレットの解説が子供にもわかる平易さなのも語学が苦手な向きには嬉しい……。

他にも以前こちらのポストで少し触れたヴェンツェル周回路や、Itzigのトレッキングルートの水車小屋から続く、ルクセンブルクのテキスタイル産業の遺産ゴショー周回路、EU裁判所やグローバル金融ファームの現代建築が立ち並ぶキルシュベルクの建築群とアートめぐり、面白いところでは世界的に知られるルクセンブルクのバラ栽培をテーマに古い高級住宅地リンペルツベルクを回る周回路RosaLiなど、ルクセンブルク市観光局の推し散歩道は多種多彩。歩いているうちに史跡のことをもっと知りたくなったら、ガイドツアーに参加してプロの解説をじっくり聞くことも出来るのも大きなメリットですよね。
それではみなさん、地図を片手にゆっくり初冬の散歩を楽しんでください。エディー!
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