ルクセンブルクの年間イベント2023年度版

伝統行事からチャリティ・イベントまで。ルクセンブルクの季節の行事を、主にルクセンブルク市で行われるものを中心にまとめてみました。

1月

新年 Neit Joer
gudde rutsch(グードルーチ)!と言いあって開けるルクセンブルクの新年。12月31日の Réveillon de la Saint-Sylvestre(聖ジルベスター祭)はみなさんあちこちで打ち上げ花火をあげるので広くて見晴らしのいい場所で花火を見るのもいいし、クラブやパブでのカウントダウンパーティに参加するのも楽しい。Luxexpo や Philharmonie などの大きな会場でのパーティが企画されることも。ノートル・ダム大聖堂などでは新年が明けると鐘を狂ったように鳴らします。旧年中に百八つ鐘を鳴らして煩悩を追い出す日本のお寺との文化的差異よ。このブログを書いてる人は煩悩が八百一くらいあるのでとても追い払えません。

年が明けた瞬間を Mudam から見た様子。鐘の音とあちこちから打ち上がる花火、そしてボナニー!の声。朝まで騒いで翌日の新年はみなさん二日酔いで過ごすのが大人の定番。そして2日からは何事も無かったように普通の日々が始まります。ルクセンブルクには振り替え休日という概念がないため、1月1日が日曜日だった2023年はさらに普通の週末感がありました。1月、それはルクセンブルクの一年で一番最悪といわれる月。暗いし天気悪いし寒いし何のイベントも……あっ1月2日から冬のバーゲンが始まりますよ!クリスマスや新年でお寒くなった財布がますます痩せるぅ。またクリスマスマーケットは終わってますが、イルミネーションは通常1月6日の顕現祭(エピファニー)までは残ってることが多いので、観光客のいなくなった旧市街で最後のウィンター・ライトを楽しむのも乙。


カーニバルからイースターまで

2月2日
ートメスダーフ Liichtsmëssdag
イエス・キリストが生まれて40日後の2月2日、カソリックの一部が祝う聖燭祭です。マリアとヨセフが赤ちゃんのイエス様を神殿に最初に連れて来た日とされています。この日ルクセンブルクの子供たちは色とりどりのランタンを提げて通りの家を回って歌を歌い、お菓子やお金をもらいます。いわばルクセンブルクのハロウィーン?このとき歌う歌はルクセンブルク人なら小学校で習うため絶対に歌える、とのこと(こちらの動画で聞くことができます)。ちなみにこの日にはクレープを食べるのが定番だそうで、これは英国のパンケーキ・チュースデイ(レント直前の火曜日にパンケーキを食べる習慣)からきてるのではないか?とはルクセンブルク人の友人の弁。


2月19日〜3月19日
フエゼント Fuesent またはカヴァルケード Cavalcades
2月2日の聖燭祭からレント(イースター前の40日間の禁欲期間)に入る前の時期に仮面で仮装しお菓子をふりまくカーニバル。イタリアのヴェネツィアやスイスのヴァーゼルのものが有名ですが、ここルクセンブルクでもマスクや仮装で街を練り歩くフエゼントが各地で行われます。有名なのはディーキルヒ Diekirch のカヴァルケード(2023年は2月19日)、シーフランジュ Schifflange(2023年2月26日)のKavalkad、エッシュ=シュル=アルゼット Esch-sur-Alzette(2023年は3月5日)、ペタンジュ Petange(2023年は3月19日)など。またレミッヒ Remich では3月19日のカヴァルケードのほか、四旬節の初日の灰の水曜日(2023年は2月22日)に藁で作った案山子人形(普段は男性ですがうるう年だけ女性の人形になるとか)を燃やす伝統があります。その他の2023年の各地の開催時期はここを参照してください。

カーニヴァルの時期になるとお店に登場する Nonnefäscht 


写真はこの時期にだけルクセンブルクのブランジェリーに並ぶ Nonnefäscht (尼さんの屁)という名前の砂糖をまぶした小さなドーナツ。ルクセンブルクにはこのほかプレッツェルやボックスメンチェンなど、宗教行事に関連した独自の食べ物が意外と豊富。
また国内だけでなく実はルクセンブルクからは直行便のあるヴェネツィアや、TGV ミュルーズ Mulhouseで乗り換えれば電車での移動が可能なヴァーゼルなど、カーニヴァルが有名な都市も行きやすいのです。ヴェネツィアはクオリティ高い貸衣装業者に事欠かないので、中世の衣装を身にまとって夜通し行われるパーティに出席するのも可能!誰でもロミオやジュリエットになれてしまいます。ヴァーゼルは華やかな山車がお菓子や花吹雪をばら撒き、通りという通りがくるぶしまで埋まるので有名。カーニヴァルが終わった次の早朝に清掃部隊が一斉にそれを片付け、翌日何事もなかったように街が綺麗になってるのも見どころの一つとか?在住してる方はこれを機会にぜひヨーロッパのカーニヴァルを堪能してください。


2月26日
ブーシブレネン Buergbrennen


1月になるとあちこちに捨てられるクリスマスツリー、ルクセンブルクでは村の外れの野原などにこれを集め、村の若い者が協力して積み上げ木の城や十字架を作ります。レントに入ってすぐの日曜日(2023年は2月26日)またはその前の土曜日、日が落ちると村から松明を持って行進、子供達(または一番最近結婚したカップル)がこの構造物に灯をつけ、燃え落ちるまでホットワインを飲んだり豆のスープを飲んだりするというブーシブレネン Buergbrennen と呼ばれる伝統行事があります。冬の終わりを言祝ぎ春の始まりを喜ぶこの祭りの起源はキリスト教以前の土着の信仰(ケルト)に遡るそうです。ガリア戦記に登場するケルトの祭儀ウィッカーマンに似ていますが、もちろん中に家畜や人間といった生贄を入れることはありません(笑)。そう、ルクセンブルクは実はガリア戦記の舞台ど真ん中。ローマ時代以前のケルトの遺跡も国内に点在し、ケルトの信仰ドルイドの影響も実は色濃く残っているのです。冬の終わりに暮れ行く野原で燃え上がる十字架を見ていると、大昔からのこの地の人々の息遣いを感じるような神秘的な気持ちになる、ルクセンブルクのイベントの中でもいちばん地元に密着した重要なものの一つです。各自治体があちこちで開催していますが市中心部から行きやすいのはストラッセンStrassen でしょうか。松明の行列は18:45に Rue des Carrières(同じ名前の通りがキルシュベルクにもあるので間違えないように注意!)で行進を始めます。今年の詳細はこちらを参照。


写真は去年のニーダーランヴェンNiederanven のブーシブレネン。 この場所はA1高速道路の Munsbach の出口を降りたら巨大に木材が積み上がっているのが見えたのですぐわかりました。バスで行く場合はLuxexpo から出ている324番でP.A.S.-Bombicht下車。詳細はニーダーランヴェンの自治体のサイトでアナウンスがあるので参照してください。他の自治体も日にちが近づいたら各自で告知を出すはずなので近くの行きやすい場所を見つけるのが吉。一部の開催自治体のリストはここにもありますのでご興味がある方はチェックしてみて。


3月17日〜19日
Coup du Printemps クー・ド・プランタン
ルクセンブルクはコッケルシェール(18番のバスの終点で大きな駐車場のある自然公園)にあるスケートリンクで毎年行われるフィギュアスケートの国際大会。ダンスとペア競技はなく、ノービス(12歳以下)・ジュニア(13〜19歳)・シニアの男女シングル競技のみ、小さい大会ですがフィギュアスケートの世界選手権の直前に行われるため、特にW杯会場が欧州の年は有名選手が調整で出場したりします。過去に表彰台に乗ったのは宇野昌磨選手や坂本花織選手ら。ジュニアには将来有望な選手がたくさん参加します、明日の世界的選手の演技を間近で観られるまたとないチャンスかも。2023年は3月17日(金)〜19日(日)の3日間。参加選手やプログラムはこちらの大会公式サイトで確認してみてください。また会場に隣接するコッケルシェール公園には桜の木があって、運が良ければ大会を観に来るついでにお花見も楽しめるかも?


3月19日
プレッツェルの日曜日 Bretzelsonndeg


ルクセンブルクの愛の告白の日。レントに入ってからの4回目の日曜日、つまりブーシブレネンの3週間後、男性が意中の女性にプレッツェルを送るルクセンブルク版愛の告白の日。うるう年には逆に女性が男性にプレッツェルを送る日になるとか。ただジェンダーに対する人々の意識が急速に変化している昨今では、男女関係なく愛する相手にプレッツェルを送る習慣に変わってきているそうで、それもまた時代の流れ。スーパーやブランジェリーでこの日のために売られるプレッツェルは塩味のやつではなくサクサクのパスティ生地に砂糖がかかっている甘ーいもの、しかもかなり大きい!プレッツェルを贈られた女性(閏年は男性)は3週間後のイースターに卵を返して返事をするというから気の長い話です、返事を待たせてる間に他の相手に取られちゃうのではと心配になります(この伝統的な告白のプロセスについてはレント期間を通した気の長いやりとりがあることを以前こちらで詳しく紹介しております)が、昔はそのくらい相手を待たせても平気だったんですね〜。そんな甘酸っぱい青春のやり取りはもう関係ない向きも、夫婦で送りあったり、また甘くて大きいこの日用のプレッツェルを家族で楽しんだりしているようで、店のプレッツェルに男性陣がたかっているのを見かけます。まるで日本のホワイトデー前の菓子売り場のよう。この時期にしか出回らない甘いプレッツェルを食べるのが結構楽しみなのです。もちろん自分で買ってきて自分ひとりで食べます……寂しくなんてないぞ。


4月10日
イースターの月曜日の陶器市 Éimaischen


イースターの翌日、 ルクセンブルク市の旧フィッシュ・マーケットMarché-aux-Poissons(国立歴史美術博物館 Musée national d’histoire et d’art Luxembourg 前)とルクス南西にある陶器の村 Nospelt で開かれる陶器市 Éimaischen でかわいらしい鳥の形をした笛ペックビレッシャー Péckvillercher が売られ、両親が子供に買い与えるのが習わし。年によって、また陶工によって本当にいろんなデザインがあるので見てるだけで楽しい。好みの鳥を見つけたり、毎年ひとつずつコレクションしたり、お気に入りの陶工さんから毎年必ず買うという人も少なくないようです。人気作家の新作は午前中で売り切れることも。

これは去年購入したルクセンブルク国内でよく見られるコマドリを模したペックビレッシャー。今年はぜひルクセンブルクの国鳥キクイタダキちゃんが欲しいのです。


初夏から夏にかけて

4月29日〜5月14日
オクターヴ Octave


イースター後3回目の日曜日から5回目の日曜日までの間の宗教的な祭事期間。30年戦争と飢饉と国民の2/3が死んだと言われるペストの流行に苦しめられた16世紀から17世紀にかけて、ルクセンブルクの民が精神的支柱としてすがった聖母マリアを国の守護聖女とし、祝福する最重要な宗教行事。国じゅうからノートル・ダム大聖堂に敬虔な信者が集まり祈りを捧げます。この期間はノートル・ダムにほど近い憲法広場にマーケットMäertchenが出て多くの屋台で賑わい、神社やお寺の行事の日に門前に食べ物の屋台が並ぶ日本を思い出します。宗教行事に洋の東西なし!また最終日にはノートル・ダム通りRue Notre Dame をマリア様のお神輿を神父さんたちが担ぎ、信者さんや楽隊が行進します。


5月20日
INGナイトマラソン

19時のスタート、まだ明るい

オランダの銀行INGの名を冠し、ルクスに拠点を置く各国金融機関や国際企業で働くエクスパットからルクス生まれの地元の皆さんまで100以上の国籍の多様な参加者を誇るルクス名物ナイトマラソン。、子供のための1kmまたは4.2kmのミニマラソン、ハーフマラソン、車椅子レース、4人で42.195kmを走るチーム・ランと初心者からガチ勢まで多様なレベルに対応しているので参加しやすく、スタート地点で見物していれば必ず知った顔がランナーにいる、住民みんなに親しまれている重要な参加型スポーツイベント。参加登録はオンラインでらくらく簡単。参加目指して今年は頑張ります。


5月29日
ウィルツのブルーム・フェスティバル Wilz Gënzefest
ペンテコステ(イースターの7週間後)の翌日、ルクセンブルクの北の町ウィルツでは、この時期に森や丘の斜面を彩るブルーム(エニシダ)の花のお祭りが開催されます。ウィルツはルクセンブルクの北半分であるアルデンヌの森の首府と言われ、急な斜面にウィルツ城を擁する小さいながらも美しい町。ビールでも有名で醸造博物館もあります。フェスティバルでは毎年ごとに選ばれるブルーム・クイーンがエニシダの花をいっぱいにした山車に乗ってパレード(キャンディ・キャンディに出てくるメイ・クイーンのお祭りを思い出します)、民族衣装を着た人々が歌って踊り、夏の始まりを祝います。


5月30日
エヒテルナハの踊りの行進 Echternach dancing procession


ペンテコステの次の火曜日にドイツと国境を接するルクセンブルクで最古の町エヒテルナハで行われる踊りの行進。2010年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されたルクセンブルクで一番有名なお祭りの一つ。国内外から集まった数千人の巡礼者が町中を踊りながら行進し、最後にこの町に眠る聖ウィリブロルドのバジリカの祭壇とクレプト、聖遺物に詣でて終わるまで、なんと平均2時間をかけて跳ねながら町を練り歩きます。
この日の謂れには諸説あり、だいたい聖ウィリブロルドと周辺地域で「ガイの踊り」と呼ばれるリウマチ熱による舞踏病が登場します。エヒテルナハのバイオリン弾きだったのっぽのガイ Guy the Long は妻と巡礼の旅に出ますが、途中で妻は死んでしまいます。ガイがひとりでエヒテルナハに帰ってくると、彼の土地や財産を山分けしていて返したくない親戚たちは「ガイが旅の途中で妻を殺した」という噂を流し、とうとうガイは絞首刑に処せられることになってしまいます。絞首台に登ったガイは「最後にもう一度だけバイオリンを弾かせて欲しい」と願い、これが許されてガイが音楽を奏で始めると、エヒテルナハの人たちの体が勝手に踊り始め止まらなくなってします。その間にガイは逃げてしまい、人々は聖ウィリブロリドに助けを求め、聖人が魔法を解いて町の人々は救われる、というものが有名です。

ゆるい…このゆるさが魅力



6月22日〜23日
ナショナル・ディ Nationalfeierdag 

建国記念日と日本語で説明されることが多いですがルクスのナショナル・ディは正式には君主の公式誕生日。とは言っても現大公アンリ殿下の本当の誕生日ではなく、その祖母であるシャーロット前々大公の誕生日1月23日をパレードや式典のしやすい6月に移動したもの。日本の天皇誕生日と違って大公が代替わりしても君主の公式誕生日が動くことはありません。前日の6月22日からルクセンブルク市内で松明の行列、様々な民族的背景を持つ人々や関連団体のパレード、大公ご臨席の野外コンサートとそれに合わせた花火が行われ、ナショナル・ディ当日は軍事パレードおよび式典が催される、ルクセンブルク最大の国家イベント。 特にアドルフ橋からの花火はフランクリン・ルーズベルト大通り中に見物客で溢れ、ルクのどこからこんなに人が?と驚くほど、目玉はペトリュス渓谷の上、アドルフ橋の上にワイヤーを渡したナイアガラ花火。詳細は以前に紹介したこちらの記事を参照して下さい。


シーズン終わりの野外コンサート
ルクセンブルク交響楽団 Orchestre Philharmonique du Luxembourg のシーズン終わりの打ち上げ無料野外コンサート。通常6月の終わりか7月初めくらいに開催されます。今年の開催は微妙ですがフィルハーモニーのウェブサイトなどで告知されると思うので近くなったらこまめにチェックしてみてください。グラシスの手前の緑地帯 Kinnekswiss の芝生の広場にシートを広げ、持ち込んだクレマン(ルクセンブルク特産の発泡酒)を傾けながらクラッシック音楽を楽しみ、楽団のシーズン最後の演奏が終わったらそのままフィルハーモニーに移動してクラブと化した会場で朝まで End of season のパーティを楽しむのが若い元気な子達の楽しみ方。そんな元気はなくとも町のバーに繰り出してゆっくり飲んでいる皆さんも。OPL のシーズンが終わるといよいよ夏本番です。


ヴィアンデン城の中世フェスティバル Vianden Medieval Festival

ルクセンブルクのはずれ、ヴィアンデンの小さな村の丘の上に聳え立つロマネスク・ゴシック様式の名城で、毎年8月の第1週、欧州じゅうから集まった中世フリークが当時の衣装に身を包み中世人になりきるコスプレイベント。衣装だけではなく当時の生活様式を再現したり、武術試合を披露したり、中世の音楽を奏でたりマーケットで物を売ったりと本格的に中世の町が再現されます。さすがに期間中は混雑しますが欧州でも随一の美しさを誇るこの名城で中世にタイムスリップしたような感覚が味わえるイベントはぜったい楽しい。2023年の開催についてはヴィアンデン城公式ウェブサイトで決定次第告知されますのでチェック!


8月15日
聖母被昇天祭
8月15日の聖母マリアの被昇天祭はカソリック国家にとって重要なお祭り。ルクセンブルクの各地域ではこの日マリア像のお神輿が村内を回るのを目撃することが出来ます。またモーゼル川流域ではハーブや穀類で作ったブーケを飾りワインを飲んでこの日に夏の終わりの収穫を祝う習慣があったとか。グレイヴェルダンジュ Greiveldange の Léiffrawëschdag、レミッヒ Remich のバッカス祭 Bacchusfest がその習慣を残しています。いわば夏のワイン祭り、ワインや地元の食材を使ったご馳走が堪能できます。モーゼルで川遊びがてら出かけるのがオススメ。


夏の終わりから秋にかけて

8月23日〜9月11日
 シューバーファウアー Schueberfouer

夏の終わりにルクセンブルク市の外れのグラシス Glacis 駐車場に忽然と現れる移動遊園地。毎年200以上のアトラクションと屋台が出店し国内外から数百万人が訪れる、ルクセンブルク市のアイデンティティの根幹をなすと言っても過言ではない最重要イベント。歴史も大変に古くその起源は1340年までさかのぼる、などという詳しいことは以前の記事で紹介したものを読んでください。狭い面積に所狭しと詰め込まれたアトラクションはある意味ガチで怖いですが、ルクセンブルクの町並みを足元にスウィングに揺られてみるのもまた一興。苦手な方も、頭の真上を悲鳴をあげる人々を乗せたコースターがかすめていくのを眺めるのが楽しいですよー。ゴーフル(ワッフル)でもパクつきながらどうぞ楽しんでください。



9月から
秋のワイン祭り

Remich自慢のクレマンとぶどうジュース

9月から10月にかけてあちこちのぶどう生産地で開催されるワイン祭も見逃せません。その年に出荷するワイン・クレマンの試飲はもちろん、この時期に産地でしか飲めない発酵途中の若いワイン Fiederrosé (赤)と Fiederwäissen(白)はぜったいためしてみてほしい。グレーベンマハのぶどうとワイン祭りは9月8日〜10日。リースリングの女王が選ばれるウォルメルダンジュ Wormeldange のリースリングオープン Riesling Open(例年は9月の第3週の週末)、レミッヒ Remich のクレマンフェスティバル Crémant Festival、シェンゲン Schengen の収穫祭 Hunnefeier などはまだ日程が出ていませんが、ルクセンブルクワイン&クレマン協会の公式サイトのイベントページで随時詳細が発表されます。またルクセンブルク市内(例年グラシス駐車場に特設会場が出来ます)でも11月頭頃に Fête des Vins et Crémants というワインとクレマンの試飲イベントが開催され、国内じゅうからワイナリーが参加します。一般入場のチケットを購入すると何種類かのワインとクレマンが試飲できるので酒好きさんが試飲しすぎて酔っ払ってるのも毎年の風景。


秋の終わりから年末にかけて

10月16日
ミュージアムナイトNuit Des Musées


ルクセンブルク市の7つのミュージアム(ヴィラ・ヴォーバン、カジノ・ルクセンブルク、市立歴史博物館、国立歴史美術博物館、国立自然博物館、ドライ・エーシェレンDräi Eechelen 城塞博物館、ムダムMudam 現代美術館)が25時まで開館する秋の夜長の博物館ナイト。各博物館で販売する前売り共通券は大人で10ユーロ、16歳以下は3ユーロ(2022年)と格安、もちろん当日に購入することもできますがやや割高(それでも全館に入場できることを考えるととてもお得)なので注意。公式サイトでは各館のキュレーターが開催するワークショップやガイドツアーなどの詳細があるのでお見逃しなく。2021年にはヴィラ・ヴォーバン前にドメーヌ kox が来てて、この時期しか飲めないフェーダーローゼ(発酵途中の若いワイン、フルーティで微炭酸)を売っていました、ほろ酔い気分で4つくらい美術館を回りましたがどこも大盛況。夜中の博物館ってテンション上がりますよね。個人的に秋のイベントでもっともおすすめなもののひとつ。


10月31日
トラウリーヒト(ルクセンブルクのハロウィーン)Trauliicht


いまや世界中に広まったハロウィーンはそもそもアイルランドから北アメリカに渡った人々がアメリカに持ち込んだケルトの土着信仰に起源を持つ風習、というのはよく知られているとおり。ケルトの遺跡が点在し大きな集落があったことがわかっているここルクセンブルクでもよく似た古い風習があります。ケルトでは5月から10月が夏、それ以外は冬になるため10月31日は夏の終わりになりますが、その日に家畜を牧舎に入れる前に、ビーツに掘った魔物を模したランタンで夏の間に家畜にまとわりついた魔を追い払うというもの。アルデンヌの村にわずかに残るこの伝統的なランタンを作る子供のためのワークショップなどが開催されているのでこの時期参加してみるのもよし。このトラウリーヒトについてはここで詳しく紹介しています。

ランタンを作ったあとは森の中を肝だめし?


ところでカエサルのガリア戦記にも出てくるルクセンブルク周辺に先住していたケルト民族は、アイルランドにアングロサクソンが侵入する以前に先住していたケルトの人々とは実は血縁関係がないことが最近の研究でわかってきたようです(いわゆる陸のケルト島のケルト問題)。どちらも領土を拡大するローマ帝国と戦い、似たような風習を持っているのは面白いですね。というか、では果たしてケルトとは?という気持ちになります……詳しい方、よければこの辺ご教示ください。切実にわかりません。

インターナショナルバザー International Bazar

日本スタンドを訪れたベッテル首相とそのご夫君

例年11月終わりか12月初めにキルシュベルクのルクスエキスポ Luxexpo で大公妃が毎年主催するチャリティイベント。広い展示場に各国の代表が自慢の食べ物や飲み物、特産品を並べ、民族衣装に身を包んだ人々を見てるだけで楽しい。トルコのチャイ、アイスランドの発酵サメ肉、アルゼンチンステーキ、韓国のチャプチェ、ベルギーのビール…と屋台をめぐって食べ歩きに忙しい上、クリスマスプレゼントも買えちゃう。みんなが目の色を変えるのはやっぱりトンボラ(くじ)、くじの抽選会がある最終日夕方は大いに食べて飲んだ人々が盛り上がっております。首相や大公一家といったセレブもご来場され野次馬根性も満足。もちろん日本スタンドもあります、お手伝いは常時募集中だそうなので興味のある方は twitter でご連絡くださいませ。



12月6日
聖ニコラの日 St.Nicola’s Day

ルクセンブルクのサンタクロースであるクレーシェンは12月6日にやってきます、電車で。この日電車でルクセンブルク中央駅に降り立ったクレーシェンが町中を練り歩き良い子にはお菓子やプレゼントを与えます。悪い子にはお供のハウゼカーが木の枝を渡します。彼らのことをもっとよく知りたい人は以前のこちらのポストへどうぞ。

聖ニコラの日前後にお店に並びます

そして聖ニコラの日に食べられるのが写真のボックスメンチェンBoxemännchen。肉屋に塩漬けにされた子供を聖ニコラが助けた伝説にちなんで食べられる人型のブリオシュで、ロレーヌ地方ではプティ・ボノムpetit bonhomme、アルザス地方ではマネルmannele またはマネラmannala、ドイツではヴェックマンWeckmann またはシュトゥーテンケアルStutenkerl などと呼ばれています。人型なのは聖ニコラを表しているらしく、ドイツでは粘土でできたパイプをくわえているバージョンもある模様。


11月24日〜2004年1月1日
ウィンターライト Winterlights

夏時間も終わるとあっという間に日が暮れ、朝はいつまでも暗いシーズンがやって来ます。11月下旬には街はイルミネーションで飾られ、ヴァンショー(ホットワイン)を片手に人々が屋台を食べ歩き、可愛いクリスマス・オーナメントを売るシャーレがマーケットに並ぶ、ルクセンブルク市の冬のメイン・イベント、ウィンターライトが開催されます。この時期のアドルフ橋から眺める憲法広場のクリスマスツリーとキラキラ輝く観覧車は本当に宝石箱のよう。ルクセンブルクの夜がいちばん華やかな季節、ルクセンブルク市以外でも各地で小さなマーケットが出ます。


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